【感想】教皇選挙


 


見てきました~以下ネタバレ感想です。思いついたのだけ。




ミステリな雰囲気でありつつ主人公・ローレンス枢機卿を通した人間ドラマっぽかったなという印象。

(ミステリだったらローレンスの命危ないシーン何回かあったし前教皇は暗殺されてたと思う)


ローレンスは前教皇のことを1人の人として敬愛してたんだなぁって伝わってくるところ、教皇候補として自分の名前が挙がることに本当に乗り気では無い一方終盤でテデスコ枢機卿との一騎打ちだ!ってなるとちょっとノリ気になってる(教皇名考えて答えてる)ところ、人間味があり迷いながら善人であろうと頑張ってるとこが主人公像として見ていて応援したくなるとこある。


テデスコは嫌な奴だけど愛嬌あるって前評判聞いてたけど個人的にはガチガチ保守派で過激でデリカシー無いわりに妙に神経質な嫌なオッサンやんけ…って感じました笑 ツラがイケオジなのと作中では不正発覚してなかったことで多大な恩恵得てるキャラだよな~(あれだけ嫌われてて粗さがしもされてそうなのに出てこないのは潔白な可能性高いって意見も見かけてナルホド~でもある)


ローレンスの親友・ベリーニ枢機卿も「教皇なんてなりたくないし、なるとしても自分の主張は曲げないよ」ってカッコイイこと言ってたのが票数が思ったようにふるわない+ローレンスが意外にも票を得てたことにイラついて結局教皇になりたい野心がっつり持っててスカしてただけというの、おい!ダサいぞ!!ってなったんだけどローレンスに「お前教皇になる気骨ねーよ見損なった!」ってキレられてからの終盤で自分の否認めて仲直りするとこめっちゃおじさんたちで青春してるな…ってなった。

テデスコが「これからの時代、ああいうテロリストどもと戦う選択ができるのが教皇にふさわしい!」的な過激発言に対してベニテスが窘める→ベニテスが票を一気に集めて教皇に…の流れがファンタジーやご都合って指摘もあってそれはそうなんだけど、映画全体としても枢機卿という肩書を持つキャラクターの扱いとしても「現実の欲望や葛藤に振り回されても最後はやっぱり理想を美しいと思うし、そこに向かって進もうとするのが人である」って感じだから「合ってる」んだよな色々な意味で。

ここでやっぱテデスコ(過激保守派)選びました!だったら嫌じゃん!!そんなんが枢機卿なの!?ってなるじゃん!?

そしてここら辺、最後の選挙では獲得票数は出さないとこやローレンスが最終的に誰の名前書いたのかわからないのもうまいなと思った。そこ描かないことでベニテスが選ばれた空気に説得力が増すんだよな…すごいなぁ



ベニテス枢機卿については…うーん……「現代において、こういう人の登場を私たちは待ちわびてるんだな」って改めて感じさせられた。

言い方はあれだけどそれこそ「救世主」みたいだよね。

特別な家の出ではない、人の痛みや尊厳を深く理解している、顧みられない無視される存在に目を向ける、潔白で聡明な枢機卿。

アデイミは女性関連のスキャンダル、トランブレの票を金で買う不正、あちこちで起きてるテロ襲撃の余波、過激保守のテデスコが不安を煽り戦争だと叫ぶところ…カトリックのトップたちの姿は今の世界情勢そのもの。

この映画にはベニテス枢機卿が現れるけど、リアルにはいない。いないからこそこうやって劇的なキャラとして映画に現れるんだろうなと個人的に思いました。


ていうかトランブレが前教皇亡くなる前日にクビにされていた一方で名簿にないベニテスが当日に生えてくるの、選挙管理者のローレンス大変すぎだろ…と同情した。いきなり人増えるのもだけどちゃんと選挙権ある人だよって周りが納得するよう紹介しなきゃいけんしな~~~!飲み会ちゃうんだぞ!!

他不正に関してもだけど「今言う?!」案件多すぎて…でもローレンスはちゃんと全部対応してたね…トランブレの不正発覚は前教皇の仕込みだったろうし(「いずれ判明する」って言葉からも仕込んでたよね…)本当選挙管理お疲れ様だよ…ベリーニとぱーっと飲みに行ってくれ


全体的に重厚な雰囲気だけど話の筋とかは王道で見やすくおもしろかったです!


バチカンのお話となると表現や脚本にも色々制約あっただろうなーと思われるので、派手さや目立つ演出こそほとんど無いのにこれだけ「おもしろい」と感じる映画撮れるのすごいな!!となりました。


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