おもしろかった!
番組としてわかりやすいエンドを用意しつつ「これ説明つかないんスけど、裏エンドはこう?」みたいな妄想が捗る作りだった。
表のエンドは「UFOという幻想を追いかけた鉢屋とその周りの皆さんの人間の心のままならなさ」的なものでまとめつつ、「それはそれとしてUFOは、たぶんありますね?」みたいな感じ。
まず前提として「UFO(宇宙の未知の存在)」と「山の怪異(人間霊ではなく超自然的怪異)」が密接に結びついてるという思考前提で作成されてそうだなぁと感じた。
これは近藤監督の「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」とか、別作品ではあれど同ジャンルとしてつながりがある「近畿地方のある場所について」の原作・映画を見たことによる私の所感。
「山には人間の理解の範疇を超えた何かが存在し、それは太古に宇宙から飛来したものかもしれない」。
山、海は古来から異界扱いされる場所だけど、こと山については空に物理的に一番近い場所・標高が高ければ高いほど過酷な環境で生き物がいなくなる特異な場所なので海よりも不可解で理不尽で無情な異界感があるよなと個人的には思っている。(※海はどんなに深く潜っても必ず生物がいる。それはそれで宇宙感がある)
山を一心に上っている最中は無心になれて心が安定するからということで精神を病んだ人が山に魅せられるということもある。下界とは全く違う過酷な環境で無心になるのを修行とする山伏というのがあるし山はまさに神秘の場所。
UFOという幻想の存在に真剣に追い縋っていた蜂屋氏のあり方、感情、その周りの人たちの気持ちの描写がありつつ、
それら人間たちの感情感傷衝動無念妄想推察など全く関係無しに、人間の理解不能な「何か」の存在はあるんだろうと思わされた。
鉢屋氏はおそらく「山の何か」に接触したことで死亡した、が、その存在は鉢屋氏のUFOを追い求める気持ちとか「ここにいます!」の呼びかけに反応したとかそういうわけでは無くただそこにあった、あるいは現れただけなのでは?
鉢屋氏の死はUFOの超周期論に基づいたアカシックレコードのように運命付けられたもののようであり、そうなりたかった男に偶然降り注いだ「ただの不幸な事故」のようでもある、というのが上手い塩梅だと思いました。
本屋の八幡氏の「人間の脳の防衛機能としてあまりにも理解し難いものは理解できる範囲のものに自動変換してしまう」というのがあったけど、
鉢屋氏の死の理由や原因を息子や知人はUFOによるアブダクションのせい、あるいはUFOなんて幻想に血迷ったからだと言ってるのはそれなんだろうな。
ここから更に、人間がとりあえず「UFO(未確認飛行物体)」と認識してるものがそもそも「人間の理解範囲を超えた何か(有り大抵に言うと怪異)」である可能性もあるよなぁ。
「UFOってなった途端怖がらなくなる、それはどうしてか?」という疑問がインタビューで話されていたらしいけど、私もそれは不思議だった。
自分の感覚だけで語るならUFO、宇宙人は恐怖よりロマンなんだよな…某池上さんが、侵略の歴史があるアメリカではエイリアン、宇宙人による侵略というのはわかりやすい恐怖描写であると解説してたな〜
だから今回ホラーとして定番の「山という超自然の異界、怪異」の感覚をそっと下地にひくことで、日本では馴染みが薄くロマンオカルトないし胡乱エセ科学みたいな扱いのUFOがちゃんとホラーになっていたなーと感心しました。
他感想書き出し
・「シロクマ」の映像がすごく異形っぽくて良かった。
造形と動き、色合い質感、防犯カメラの映像解像度と合わせて「何かの見間違いとも一応見取れる、明らかに人っぽいけど人じゃない」と感じさせる映像でウワっとなれた。
・大学生連続不審死
本筋ではないからってことでサラっと流されていたけど、明らかに何かありそう。特に1人生き残った白瀬。
宇宙人と入れ替えられてしまった、あるいは本物と寸分たがわず複製された偽物…FGOのデイビットがそうだったよなーと。
他5人の遺族証言も取れない状態だからここら辺は謎が多い。「5人はたまたまで白瀬だけが本物の何かに遭遇した」なのか「全員実は何かに魅せられていたが現時点で辛うじてわかるのは生き残った白瀬のみ」なのかも不明。
・蜂谷氏の過去登山体験談
登山中テントがぶっ飛ばされてあれは本当に死ぬかと思ったけ生きています~とインタビューで語ってたやつ…あの時点で既に説も出てきそう
山という異界での死→生還って体験は異界巡りだし、強烈な体験から今までの自分と同じではいられない、という点では「入れ替わり」に近いものありそう。
・過去作含め
過去作含め、「ではこの人たちはどこから『狂い』だしたのか?」というのが不明瞭なのが個人的に好き。
蜂谷氏が本当にUFOに魅せられた時期はいつからなのか。きっかけは本当に息子の言葉だったのか?
イシナガキクエもだけど書籍で補完されそうかな。

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