【感想】八つ墓村(映画)


見る前にちょいとレビューをば…と検索したらまぁー見事に賛否が分かれてて迷った挙句見に行きました。 

比較的小さめなスクリーンながら人入りはかなり多め。

年齢性別偏りなく、天気や連休鑑みても注目度が高めな映画なんだなーと感じました。 

以下ネタバレ。 






直近で見た清水監督作品が「口に関するアンケート」だったので監督ついにミステリ軸ホラーに目覚めた?!とちょっと期待したけど安定の「呪い祟り最強最高!」だったw 

初手オープニングに凝ったクラフト演出で田治見の家系図とか盛り込んでたけど後半ほぼ関係ない!そんなもんは投げた!だったので思い出すと笑ってしまう。 


令和の時代だけど過去作の昭和雰囲気リスペクトしたくてでも要蔵が衝撃の事件起こしたのは平成っていう破茶滅茶感…

令和を表現しようとすると村ホラーの説得力が薄れ、全面的に昭和のテクスチャにするには過去作の焼き直しすぎるみたいな感じだったからかな。

辰弥にここら辺のチグハグさをさりげなく説明とコンタクトしてもらえたら良かったのかも?

例えば、神楽舞をスマホで録画しようとして禁止されてるので〜と言われてやめる…とか。 


見ていて、やっぱり私は清水監督の撮る画が好きなんだなーと実感しました。 

過去映画のリスペクトありきとはいえ、発狂した要蔵が満開の桜並木の下を疾走する予告映像でオッ!見てみたい!となったので…なお1977年の映画も未履修です。

CG部分はちょっと微妙だった箇所は多いんですが、もしストーリーが横溝ミステリとして構築されてたら映像としてかなり好き!となってただろうな〜!

レトロミステリ映画としてなら個人的にはかなり高得点なのですがホラーとして見るとかなりウーーーンなのが惜しい…。 


ミステリ部分は全てかなぐり捨ててホラー!祟りじゃー!ハイ!そうです!!祟りなのです!!という話になっているので金田一の存在意義が消滅してる。 

ここも本当に惜しくて、ホラーに振ったならば金田一を一捻り加えてでもどげんかせんといかんのを放置してる感じになってたのが…

清水監督は人間より強い幽霊を描きたいんだなと思って見てるんだけど、金田一は人間でありメタで見るならば「ミステリの」八つ墓村では因縁を解き暴く最強な存在。

だけど「ホラーの」八つ墓村では無力なのよね…実際後半で「私の手には負えない」と降伏して無気力になってたし。

このお話には突然相続騒動に巻き込まれた辰弥がいるので、いっそ完全に辰弥中心にして金田一はなんらかのトラブルでほぼ登場できなかったとかにしても良かったのでは?と思った。


辰弥周りの背景も感情描写もあまり無いから最後、モンスターミヤコから助けてくれた?亡き母のあれそれとかもよくわからんというのが正直ある。

なんで命を賭して守った辰弥を手放したのか?

要蔵の愛人だったけどそこにあった感情は?

村や田治見の因縁は知っていたのか?

とか…


因習村ホラーってドロッとした人間の感情が肝な部分あると思うんですが、村ホラーの雰囲気は感じても核心たる田治見一族のドロッ…としたものがあまり描写されなかったのがな〜〜〜! 

梅竹双子ばあちゃんが田治見一族の存続に拘ってるのか拘ってないのかよくわからんかった。

発狂して村人を殺し回った挙句手負いになった要蔵を匿って死ぬまで面倒見てたのも、屍蝋化した要蔵に生きているように話しかけて報告してるのも不気味なんだけどなんでそこまでする? 

かと思えば炎上する屋敷の中でただお祈りして一緒に燃え尽きていくし…

田治見一族をなんとしても続けたいのか絶えてもしょうがないと思ってるのかどっちなんだい?! 


ミステリパートはぶん投げてるので真実の情報収集は全てフリフリさんに任されていたの大胆すぎる。

金田一はそこに不法侵入して集められた情報体(フリフリさんの日記。中身は小学生の日記にいきなり田治見の家系図調べましたみたいなのが入り込む和綴じ本という謎すぎる代物)を持ってきただけという。 

フリフリさんは物を盗むクセがある…と村全体で共有されてるのに田治見の一番の秘密(450年くらい前に匿った落武者達を裏切って村ぐるみで殺すよう指示した)の証拠を普通に盗まれてる田治見家よ。セコム入れろ。 


そのフリフリさんも要蔵の事件の唯一の生き残りなのに久弥に殺されてしまうのがキツい。

酷いな!と思ったけどフリフリさんは一番真実に近い情報を手に入れていたけど要蔵への憎しみがベースだから田治見だけが悪いという結論に至ってしまったのが敗因なのかもなぁ。

ここの理不尽とままならなさ結構好き。

なおフリフリさんのヤバそうな演技ほんとすごいなと思ってたらホラーで有名な方だった。 


人物関連は不完全燃焼だったけど、冒頭からの因習村描写はかなり良かったです。

これがゲ謎とかtrickとかの源流(に一番近い)なんだなと感じられるというか。

それにしては若い人多過ぎなんだけどそれはそれとしておく…。 


神楽舞で8人の神様が奇妙な動きをした後次々倒れて動かなくなるとこで観衆がドッと盛り上がってるのが不気味で良かった。

動きの真実がわかると余計に。

同時に、それぞれの動きを鮮明に覚えて踊りとして伝え続けてる(誤魔化そうと思えばできただろうにそうしなかった)辺り村人達はやはり罪悪感があって後ろめたかったのかなーもわかりやすくなってて良かった。

観衆はお面をしていて、その意味が後半で明らかになる。 

落武者達を招き入れたけど褒賞に目が眩んだ田治見と村人達は落武者達を村ぐるみで殺すことにする。

その際に落武者達には動物の、自分たちは無個性な面をそれぞれ付けることで落武者達には誰が自分を殺したかわからないように、村人達は罪悪感を薄れさせるようにしている。

ここは素直にうまいと感じたし、令和のSNS炎上とかにも通じてると思ったのでもっとアピールしても良かったのでは?!とか思いました。 


八つ墓村のじっとりとした村ホラー感には、村全体が抱える「後ろめたさ」があるんだよなぁ…

面を付けることで罪の分散をしようとしたけどそれは結局「俺私は悪くない、あいつが悪いんだ」にしかならんかった、というのはそういうの含めてとても良かったです。 


末代まで呪うからな宣言された田治見当主は全力で呪いに抗おうとしたみたいな描写あったらグっときたかもな…お札とかお守りとか買い漁る〜とか。 

書いてて思ったけど祟り系統って時を超える怨みと、直接関係の無い子々孫々に先祖の負債強制持ち越させるある意味でダサい部分があるんだよな…

末代まで!と言いつつ田治見が令和まで続いてたのis何?どうした?なのがあって、田治見が抵抗してたか怨霊サイドが何かしらの理由でトドメさせなかったのか…  


エンドロール後、就職したであろう辰弥が歩く人混みの中にミヤコが一瞬写って消える。(くしゃ、となんか薄くて硬いものを踏みくだいた音あったけどあれなんの音だっけ?お面だっけ?辰弥の命が砕ける音とかやめてね!)

特典ハガキ裏の「人混みに気を付けて」はそういう意味か〜。


おもしろくはあったけど総じて「惜しいな〜!!」と感じる映画でした。


あまねく因習村の源流ともいえる作品でありながら映像化の際には大胆な改変やアレンジが加えられる伝統があるという「八つ墓村」。

令和ホラー版を映画で見れたのは良かったです。 


清水監督はつよつよ幽霊こそがホラーの醍醐味!みたいな作品が持ち味だと思うけど、ヒトコワミステリの制限鎖を付けられたらどんな作品作るのかなぁやってみてくれないかなぁみたいな気持ちがちょっとある。

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