【行ってきました】横浜トリエンナーレ2024&黄金町バザール

 横浜トリエンナーレはこれで8回目。

前回は2020年、コロナで延期になったので4年ぶりの開催です。


(遊園地の見える場所でお昼🍽)


ネタバレOK勢なので事前に感想チェックしました~。

大体こんな感じ。


・政治色強め

・メッセージ強め

・製作者達の「怒り」を感じた

・暗い、重い、子供に見せるのはちょっと…

・4年ぶりかつ美術館リニューアルお披露目だしもっとお祭り感欲しかった

etc…


……うん!不穏!!!

ノットフォーミーってやつかなーと期待値下げて行ってきましたが概ね皆さんの感想通りではあったかなと思います。

以下写真など~



最初に見た野草のタペストリー?綺麗だった。




これもデモ関連だけど、なんか緩くて良かった。

触れるのはやっぱり楽しいですね。







悪夢映画かな!?だったけど不気味でおもしろかったです。

戦争とかデモとか関係ない作品のが珍しいから一番印象残ったかも…。


全体的に「つらいぜ!怒ってるぜ!でもそんな理不尽に抗って生きていくぜ!」っていうのがテーマっぽいけど、「つらいぜ!怒ってるぜ!」の部分だけがどうしても強く伝わってきてしまうから

受け手はしんどくなってしまうのかなと思いました。

「でも生きていくぜ!」という希望の無限ガッツみたいなのがストレートにわかる作品が少なかったかなぁ。

閉塞感や危機感自体には共感できるからこそ、無限に暗くなってしまうので、そこを切り開く希望…「感動」が欲しかった。



黄金町バザールは初めて見ました。

作品もだけど街並みというか雰囲気が独特で面白かったです。

元赤線の街なので、そういう歴史が濃い。ギャラリーとしリノベしてて使われてる建物も、これどういう用途で建てられたの…?と思うぐらい狭い。

一緒に行った父は多分小さい飲み屋だろうと言っていたけど、そうなの??となった。めっちゃ狭いよ…???

以下写真など。



縦にめちゃ細長い元住居?らしきところをギャラリーにしていておもしろい。この畳の部屋??(2畳ちょっとしかない…)とことディスコ調の照明が謎マッチしてます。




綺麗で涼しい作品。

多分そばを流れる川の水面を投射してるっぽい。天の川みたいで涼やかでよかった。




これ見たかった!満足!

もっと広い空間のがわかりやすかったかもしれない。




卵の殻で作られた作品。綺麗だったな~

日本画着想らしくて確かにとなりました。




この作品が置かれてるビル…めちゃくちゃ雰囲気ありました。

電車が通る度にゴオゴオ鳴る廊下、錆びついたドア、壊れてむき出しになったドアチャイム、ドアに無造作に張り付けられた全てひらがなで書かれた手書きのメモ…

あまりにも雰囲気あるから演出されてるのか…?と思ってふと見た暗い階段の壁にあった「一般の人が住んでいるのでお静かに」というバザール主催側の注意書きにヒュ…ってなりました。

もう作品じゃんこれ…。




ネコチャン!!!!

地域猫かな?毛足長くてかわいかった~!

このネコチャンを見つけた瞬間、今回一番の心の底からの「わあ…ッ!!」が出ました。


そしてこれで気づいてしまった。

自分がトリエンナーレに期待してたのってこの「わあ…ッ!!」と同種の感情との出会いだったんだと…。



即ち、「感動」。



今回のトリエンナーレ、超つまんないとか行って損したとかは全然無い。

ノットフォーミーかなって思ったけど楽しかったしなるほど~ともなった。

でも、このネコ見た途端、いろいろ吹っ飛んでしまったんですよね…


感情がブワっと湧き上がる感じ。

「琴線に触れる」とはよく言ったものです。

明るくても暗くても、自分にこんな感情があったんだって震わされて気付かされて一気に視界が開ける感じ。


これ。これが欲しかったんだんだって気付かされてしまった。


ネコチャンは罪深く、生き物とは尊いものだ…もう訳が分かんねぇよ…



ここからは今回のトリエンナーレで考えたことつらつら。





すごく正直に言ってしまうなら、トリエンナーレが次もこの路線で行くのは厳しいと思いました。

アーティストやそのプロデュース側の人の一部には「楽しいだけ、きれいなだけ、刺激的なだけのアートは中身が無い」「アートを通して啓蒙を広めるべき」という考えの人もいるけど…

多分だけどトリエンナーレにくる多くの人はそれを求めていないんじゃないかな。

世界が不穏な方向に向かっているのに芸術はそこから目を背けるように大衆向けとして中身が無くなっていくのではないか、という危機感が知識人にはあるのかもしれない。

けどさ、大衆だってなーんも考えずに快楽に任せて生きてるわけじゃないわけで。


SNSでもニュースでもたっくさん見てる。

悲惨な事件、政治家の汚職、他国の戦争紛争デモ、同じ人間同士の意見の対立と貶し合い。

経済の下降、からの人の心から余裕がなくなってるのでは…というのは多くの人が実感してる。

言葉にすればするほど対立してバラバラに分断されたりすっきり解決できないことを余計思い知ったりもする。

なんとかしたいけど自分一人でできることが限られ過ぎててモヤモヤしながら生きている。

自分の抱えるモヤモヤに加えて他人からのメッセージや訴えなんて、日常で暮らしてるだけでお腹いっぱいってなってる人は多いのではないか。


芸術…ビジュアルアートが今流行りなのは、そこからの解放を求めてと言うのが1つあるのでは?と個人的に思っています。

ある一つの作品を「見ただけ」で心を震わされる、隣の誰かが同じものを見て「すっげぇ…」と呟いて「わかる」とシンプルに共振する、「すごい」という気持ちにはどこにもなんの隔たりも無い。

自分の中にこんなものがあったんだ、こんなものを求めていたんだ、世界とつながっているんだと「発見」させてくれる何かとの出会いを求めているのでは?と。



帰りの電車で父と「次のトリエンナーレはどうなるんだろうね、楽しみだね」と話し合いました。


メッセージのその先が見たい。見せてほしい。

期待しています。



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