【感想】ミッシング・チャイルド・ビデオテープ

 



実質初めてのひとりホラー映画鑑賞…!

怖い顔の幽霊バーン!怖い音ドン!みたいな脅かし要素ほぼ無し、全編通してめちゃくちゃ淡々とジワジワと異常を感じさせながら話が進んでいくのでビビりでもちゃんと全部目を開けて見れました(呪怨とか目を瞑って母親に実況させてた程度にはビビリ)


結構いろんな別作品とのリンクを感じた(それぞれ作者は別なのですが、監督とは個人的つながりも深いしパンフ見ても影響されてるのは明言されている)ので、ふせったーにまとめました。


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出てくる摩白山は「近畿地方のある場所について」のところっぽい。

近畿地方のある場所についてでは、マシラ様→マサルという男に原因があるようでいて、そもそも山自体がヤバいというオチだった。


捨てても良い場所は「穢れた聖地巡礼について」かな。

「口に関するアンケート」もだけど、場所に何かしらの縁起があり(願いが叶うなど)、そこに乗っかる形で厄い願いや邪な気持ちが原型が見えなくなるほど積み重なって(願いが叶う場所です→じゃあ気に食わないアイツを殺してくださいって願います→願叶う→どんどん繰り返されて願いが叶う場所から人を呪い殺す場所に変化)場所自体が呪われてしまうというやつ。


弟の行方不明後残された家族が囚われ続けて歪んでいくのは「行方不明展」を思い出した。

生死不明だけど、不明だからこそ見つからずに探しているうちは生きている、みたいな。


でも実はこの家族は最初から歪だったのかもなみたいな空気なのは「フェイクドキュメンタリーQ」とか「飯沼一家に謝罪します」とか。

しかし主人公が、家族がそれぞれ役を演じているだけのように見えていた、というのは個人的にはそこまで異常と思えないんだけど…私がおかしいのかな。人間は「自分でそうであると決めること」より「他人からそう望まれたからそうした」の方が実は圧倒的に多いと思ってるので…。

主人公と家族、どっちがおかしくても居心地は悪かったという事実は変わらないか。



初潮で汚れた下着をあの山に捨てることによって生理が来なくなって喜んでいた婆ちゃん…じゃあ婆ちゃんの子であるはずの母さんは何?その孫の自分って??となる孫くん……いやでも!出血だけ無くなって排卵はあるとかいう謎ミラクルシステムかもしれんし?!元気出して?!

そしてすまん婆ちゃんの気持ちもわかる。捨てられるなら私も捨ててるからな。もういらんです生理。


摩白山の別名「合馬山」

司は「別の名前がありましたけど…」で上手く読み方を誤魔化してて映画内でも確か読み方は音としてはっきり出されていなかったと思うんだけど、帰って検索したらこれ「おうま」と読むんだな…つまり「逢魔」。めちゃくちゃ直球。


ミコトさんについてる奴はなんなんだ?

誰も守護霊だよとか悪い奴だよとか言わないんだよね…司が何も言わないあたり部外者だと判断つきかねるやつなのかな。

鈴は「悪魔よけ」。だけどあの建物が出現して人を誘い込む時は鈴の音がするんだよなー

死んでいるはずの主人公父からオカルト電話がかかってきて、車の外から鈴の音が聞こえてきた時にミコトさんの防犯ブザーが鳴るんだけど、あれ威嚇?

守護霊<ご主人に触るな!!ワンワン!!がるるるる!!みたいな??そんなのある?!



失踪大学生たちのカセットテープ音声にあった「2階が怖いですか?」のところ、字面だけなら普通のセリフなのに1人だけ突然敬語で言ってるからン??と違和感持つようにされてるのと主人公が司に「2階が怖い?」言ったところとすぐにリンクできるようになってるのすごいなー。

最終的に「2階から落ちて死んだ弟」につながるし。(あれ、死体の状況的に階段から落ちたのではなく、2階から落ちた(落とされた?)だよね?)

これ言った人は既にちょっとおかしくなってるってなんとなく思わされる。瞬間的に発狂してるというか。

なのであの後2階に上がった主人公は母親の死体が「見えなかった」のではなく「気付けなかった」んだろうな、と思った。


民宿の倅が最後に見た「児玉日向くんを見つけてください」のチラシが新しくなってるのがゾッとする。

父母は死亡、主人公も弟の件についてはケリが付いてるのであの新しいチラシを貼る理由がない。

だってあれ、弟じゃないんでしょ…?弟はもうとっくにこの世からはいなくなってて主人公のそばにいるだけなんだから。

…疑似餌、という単語が頭に浮かんだ。

最後のビデオテープ演出的にも主人公にとっての疑似餌が弟から司に変わっただけで主人公はいまだ山のなにかにロックオンされてるんだろうな、という感じの終わり。


あの場所で主人公の前から弟も司も消えてしまったのはやっぱり主人公が僅かながらも疎ましいと思ってた(捨てたいと思った)からなのかなぁ。

いやでもそうだとしたら司可哀想じゃない??弟のことは軽くとはいえ疎んじてる場面があったけど(捨て山システム的に真剣度は関係ないっぽい)司に対してはそういう描写も特に無かったと思うのでこれはまた違うのかな。

こうしたらああなるみたいな、Jホラー映画の一番星・貞子大先輩みたいに呪い条件キッチリタイプでは無いよねぇ…。人間霊のほうがキッチリで怪異の方がそこんとこ曖昧で人間にとってのライン超え平気でしてくるのもホラーらしくて好きだなーと個人的には思うけども。


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SNSでは賛否両論っぽいかな。

全体的に流行りのモキュメンタリーホラーベースに映画が構築されているので、若干ドラマ部分が浮いてしまってるかなぁとはどうしても感じました。

ここを上手く馴染ませることができたらもっと怖くなるのかも…

モキュメンタリーホラーの一大ブームのキッカケである「近畿地方のある場所について」も今年映画化するけど、やはりこの部分が不安要素。

でも、言葉による説明をある程度抑えながらのドラマ構成は個人的にはとても良いな~好きです!となりました。


確実にJホラーの新境地だなと感じました。次作にも期待!

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